愚か者の庭

ニュージーランドで29年。鉄道+動物好き。愚か者の家在住

【美容の真実】脱毛やけど事故の続く光脱毛の闇

最近、光脱毛による火傷の記事を読みました。



この手の事故、実はしょっちゅう起こっているけど、泣き寝入りしている人も多いと思います。
ニュージーランドでは、光脱毛(IPL脱毛またはレーザー脱毛)は、法律上は特に資格も要らなくて、商業エステサロンなどではよく導入されています。が、その効果はピンキリです。


以前こちらでも、目の保護用の遮光サングラスを渡し忘れた事故のケースがあって、目の近く(眉毛か眉間だった)を脱毛してされたお客が失明しかけたという事故が取りざたされました。


私は本職がエステティシャンで、商業サロンで働いているときはIPLの施術もさせられました。
NZでも光脱毛に関しては特に公的な資格というのはなくて、経験のある先輩エステティシャンに習ったり、脱毛機器を販売している業者から講師が派遣されてきて、数日間のトレーニングを受けたりというお手軽さ。しっかりした長期にわたるトレーニング期間というのがあまりないんです。


だから経験の浅い施術者に当たると、事故が起こるのって当たり前だと思います。


光脱毛で火傷が起こるケースは、出力のセッティングを誤ったことが原因だと思います。
つまり出力が強すぎて、というケース。


日本人だけを相手にするなら通常は出力の設定を変えないことが多いと思うんですが、例えば地黒な人が来た場合は、出力設定を換えなければなりません。


レーザー、IPLに共通する光脱毛の原理は、光は黒いところに集まる(=吸収される)という性質を利用したものです。


白いシャツを着ると光を反射してあまり熱くならないけど、黒い服を着て太陽の下に立つと、光を吸収して熱くなるというのと同じ原理です。


光脱毛は、皮膚の下の黒い点=毛根に光のエネルギーを集中させて、ピンポイントで熱を与え毛根にダメージ与える、という原理です。


昔、毛穴に針を刺して電気を流すのが永久脱毛の主流でしたが、これも同じ原理で、毛根に熱をピンポイントで与えて組織を壊し、血流をブロックして一つ一つ毛根を破壊することによって毛が生えなくなる、という仕組みなんです。


光脱毛では、毛根にエネルギーを集中させるため、肌の上の毛をすべて剃ってから施術に臨みます。もしも剃り残しがあれば、光を当てたとき、毛や肉が焼けるような匂いがします。
タンパク質の焦げる、独特のにおいです。


光脱毛の場合、多数の毛根を一斉に破壊できますが、肌が白くて毛が太くて黒い、白雪姫的な肌&毛色のコントラストが光脱毛が最も有効的なタイプ。
逆に肌の浅黒い人、日焼けしている人、毛の色の薄い人や細い毛、白髪なとには、光脱毛はあまり効果を発揮しません。


基本的に、日焼けしたり、肌色を濃くしている人には光脱毛はタブーだし、ニュージーランでは、夏の間は日焼けするので脱毛施術をお断わりすることもよくあります。


だからこのような事故が起こること自体、施術する側の無知の極み、これはもう犯罪と言えると思います。
 ↓


これから光脱毛で永久脱毛をしてみたいという人へのアドバイス。


(1)
脱毛を専門にやっていて歴史があり、その分野でのよい評判があり、最新の機器を使っているクリニックをお勧めします。
ふつう、医療脱毛はレーザー脱毛で医師管理下で行われるもの、IPL脱毛はエステサロンがよく導入しており、機械としては精密さやパワーに欠ける。またエステの脱毛では、施術者が経験不足なことも多い。


(2)
肌の色が浅黒い人、また毛が細かったり、毛色が薄い人には、効果が出ないことが多い。
またセッティングを間違えられると、火傷の事故になることがある。(肌色の濃い人は要注意です)


(3)
普通、施術は4~6週間の間隔をあけて、合計5~10回程度行われる。期間にすると終了までに1~2年かかる。
妊娠予定の人、妊娠中の人、産後で授乳中の人は、施術を受けない方がよい。
胎児への影響などのデータがないのと、ホルモンの変化によって、一時的に毛深くなったりすることがあるため。


(4)
3回施術を受けて、全く効果が見えない場合は、そのクリニックを見限った方がよい。
ふつうは3回施術を受けると、毛の量が30%は減るはず。
おそらく脱毛機器があまりよくないか、セッティングがあっていないか、肌色&毛の色的に光脱毛では効果が期待できない可能性もある。


(5)
どの部位を施術するにしろ、遮光用サングラスは、施術を受けるお客様、施術者ともに必要(超重要!)もしサングラス忘れて施術が行われると、5回裸眼で脱毛器の光を見たら、白内障になるといわれています。
また脱毛エステの施術者は、サングラスを使用していても、若年性の白内障になるケースが多いです。目が大切だったら、お勧めできない職業です。
もしサングラスをせず、レーザーの光が直接黒目に当たってしまったら、黒目が焼かれて即失明する危険があります。
機器の取り扱い中、サングラスをかけるまえに間違えてボタンに触れてしまって、光が黒目に当たった、という事故もなきにしもあらず。そういう危険が伴う真剣勝負の施術です。信頼できるクリニックに行きましょう。
あと施術する部屋の壁には鏡がないこと、が必須条件。
私が以前働いていたサロンでは、施術部屋の壁面に大きな鏡がありました。光だから鏡に反射して、どこに当たるかわからないですよね。怖いです。


(6)施術エリアのほくろはすべて白いステッカーで覆って隠すようにしなければなりません。光が一点に集中してほくろを焼いてしまったり、それが原因で、ほくろが皮膚ガンになることもあります。ほくろの多い場所の施術は、注意が必要です。


(7)
良心的なクリニックなら、コンサルとテスト・ショット(腕の内側など目だたない場所に1ショットだけ照射して、セッティングをチェックしたり肌のリアクションを見る。実際の施術はその数日後)をしてくれると思います。逆にそうした安全システムがないところは、信用できないので避けるべきだと思います。
テストショットでは、顧客側は、施術者とクリニックの安全管理や、自分の肌のリアクションを事前にチェックすることができます。また施術側も、顧客の肌色に合わせたセッティングをチェック&調整できるので、これは必ず行われるべきと思います。


(8)
施術中に光の照射をされた瞬間、ゴムバンドで肌をはじかれたようなショックがあります。直後は、照射部位は少し熱を持ったような感じで(せいぜい軽い日焼け後という感じ)、本物の火傷のようにヒリヒリした痛みがずっと続くというようなことはありません。
一時的に赤みや熱を持つことはありますが、安静にしていれば翌日には改善するはず。
翌日も痛みが継続するようなら、クリニックに連絡しましょう。
本当の火傷ならば、翌日水膨れになったり、1週間過ぎると部位に跡が残るはずです。施術直後、翌日、24時間後、48時間後、そして数日後と、肌の状態の記録をすべて写真に残しておきましょう。クリニックがきちんと対応してくれない場合は、警察などに連絡することも必要かと思います。その場合は、被害を証明する写真が必要です。


(9)
日本では介護脱毛などもよく言われますが、局部に色素沈着がみられる場合は、これまた火傷のリスクや脱毛の効果が出ないという結果も考えられるので、要注意です。
また、年齢が上がるにつれ、表皮は薄くなり、肌も刺激に敏感になります。また白髪には光脱毛は効かないので、介護脱毛は白髪が多くなる以前に行う必要があります。



皆様、これらの点に注意して賢明な判断で脱毛するかどうか決められてください。


私はと言えば、毛を抜くのが好きなので(職業でもある)、永久脱毛はしておりません。
ワックス脱毛や毛抜きはいわば私の究極の娯楽。その楽しみを機械に奪われたくないからです。